「神殿」について その10

新改訳聖書』第3版のエゼキエル書37章22節(その9冒頭)に、次のように書かれています。
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22節
わたしが彼らを、その地、イスラエルの山々で、一つの国とするとき、ひとりの王が彼ら全体の王となる。彼らはもはや二つの国とはならず、もはや決して二つの王国に分かれない。
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1行目から、「わたしが彼らを、その地、イスラエルの山々で、一つの国とするとき、ひとりの王が彼ら全体の王となる。・・・」とあります。

 

「その9」で見たように、「わたしが彼らを、その地、イスラエルの山々で、『一つの国』とするとき」ということばから、これは、エズラ記の時代のことではない、と言うことができます。

 

さらに、「『ひとりの王』が彼ら全体の王となる」ということばからも、エズラ記の時代のことではない、と言うことができます。

 

エズラ記5章14節に、次のように書かれています。
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14節
クロス王はまた、ネブカデネザルがエルサレムの神殿から取って、バビロンの神殿に運んで来た神の宮の金、銀の器具を、バビロンの神殿から取り出し、自分が総督に任命したシェシュバツァルという名の者にそれを渡しました。
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1行目から、「クロス王はまた、・・・自分が『総督』に任命したシェシュバツァルという名の者にそれを渡しました。」とあります。

 

クロス王はシェシュバツァルという名の者を『総督』に任命した、ということが言われています。

 

シェシュバツァルについては、エズラ記1章8節に、次のように書かれています。
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8節
すなわち、ペルシヤの王クロスは宝庫係ミテレダテ*に命じてこれを取り出し、その数を調べさせ、それをユダの君主**シェシュバツァルに渡した。

 

* 直訳「の手を経て」
** エズ二・二の「ゼルバベル」のこと

 

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2行目から、「・・・ユダの君主**シェシュバツァル・・・」、とあります。

 

この言葉から、シェシュバツァルは『ユダの君主』であることが分かります。

 

しかし、上記エズラ記5章14節にあるように、シェシュバツァルは『総督』に任命された、ということが言われています。

 

つまり、シェシュバツァルは『ユダの君主』ではあったとしても、ユダヤの地を統括する『総督』であって、一国を統治する『王』ではない、ということです。

 

当時ユダヤは、ユダが『州』であったのと同様に、バビロンという国の一つの『州』、もしくは『州』のようなものであったと考えられます。

 

ユダが『州』であったことについては、「その9」中ほどのエズラ記5章8節をご参照ください。

 

そして、シェシュバツァルが『総督』に任命された当時の王は、ペルシャの王クロスでした。

 

ユダヤ人には『一つの国』はなく、『ひとりの王』もいなかった、と言うことができます。

 

したがって、エゼキエル書37章21節(その8冒頭)と22節(上記冒頭)に書かれていることは、エズラ記の時代のことではない、と言うことができます。

 

エゼキエル書37章22節(上記冒頭)第二文の、「彼らはもはや二つの国とはならず、もはや決して二つの王国に分かれない。」というのは、ソロモン以降イスラエルが、イスラエルユダに分かれたことを言っていると思います。

 

その11、に続きます。