「とりこ」について その4

これまで述べてきたことからは、エゼキエル書12章の、わたしが引用した節に書かれていることが、列王記の時代、ユダの王ゼデキヤの第十一年と同じときのことなのか、それとも、違うときのことなのか、はまだ判断できないと思います。

 

「・・・荷物を背負って出て行(い)く・・・」(エゼ12:12)ということと、「・・・出て行(い)けるように壁に穴があけられる・・・」(同)ということが、列王記の当該箇所に書かれていないのはなぜか、という疑問は残ります。

 

新改訳聖書』第3版のエゼキエル書12章14節に、次のように書かれています。
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12章14節
わたしはまた、彼の回りにいて彼を助ける者たちや、彼の軍隊をみな、四方に追い散らし、剣を抜いて彼らのあとを追う。
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この14節に書かれていることが、列王記の時代、ユダの王ゼデキヤの第十一年のことなのかどうか、という観点から、さらに考察します。

 

まず、1行目に、「・・・彼の軍隊」とあります。「彼」というのは、12章12節の「彼らのうちにいる君主・・・」のこと、と言うことができると思います。

 

「軍隊」については、列王記 第二25章5節に、次のように書かれています。
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25章5節
カルデヤの軍勢が王のあとを追い、エリコの草原で彼に追いついたとき、王の軍隊はみな王から離れて散ってしまった。
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2行目から、「・・・王の軍隊はみな王から離れて散ってしまった。」とあります。これは、エゼキエル書12章14節の「わたしは・・・彼の軍隊をみな、四方に追い散らし、・・・」に当たる、と考えることはできると思います。

 

しかし、列王記には、「王の軍隊」が「みな王から離れて散ってしまった」あとのことについては書かれていないと思います。


したがって、エゼキエル書12章14節にあるように、「わたしは・・・剣を抜いて彼らのあとを追」ったかどうかは分かりません。

 

「彼の軍隊」(エゼ12:14)については、さしあたり、このように考えられます。

 

次に、エゼキエル書12章14節1行目の、「彼の回りにいて彼を助ける者たち」については、どうでしょうか。

 

列王記 第二25章には、「彼の回りにいて彼を助ける者たち」という言葉はありませんが、そのような者たちを思わせるような者たちについては、書かれているのではないかと思います。


例えば、25章18節から21節までに書かれている者たちです。

 

その5、に続きます。