「律法学者」について その1

新改訳聖書』第3版のマルコの福音書7章1節から9節までに、次のように書かれています。
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1節
さて、パリサイ人たちと幾人かの律法学者がエルサレムから来ていて、イエスの回りに集まった。
2節
エスの弟子のうちに、汚(けが)れた手で、すなわち洗わない手でパンを食べている者があるのを見て、
3節
―パリサイ人をはじめユダヤ人はみな、昔の人たちの言い伝えを堅く守って、手をよく洗わないでは食事をせず、
4節
また、市場(いちば)から帰ったときには、からだをきよめてからでないと食事をしない。まだこのほかにも、杯(さかずき)、水差し、銅器を洗うことなど、堅く守るように伝えられた、しきたりがたくさんある―
5節
パリサイ人と律法学者たちは、イエスに尋ねた。「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人たちの言い伝えに従って歩まないで、汚(けが)れた手でパンを食べるのですか。」
6節
エスは彼らに言われた。「イザヤはあなたがた偽善者について預言をして、こう書いているが、まさにそのとおりです。
  『この民は、口先ではわたしを敬うが、
  その心は、わたしから遠く離れている。
7節
  彼らが、わたしを拝んでも、むだなことである。
  人間の教えを、教えとして教えるだけだから。』
8節
あなたがたは、神の戒めを捨てて、人間の言い伝えを堅く守っている。」
9節
また言われた。「あなたがたは、自分たちの言い伝えを守るために、よくも神の戒めをないがしろにしたものです。
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2節から5節までに、『(2節)イエスの弟子のうちに、汚(けが)れた手で、すなわち洗わない手でパンを食べている者があるのを見て、・・・(5節)パリサイ人と律法学者たちは、イエスに尋ねた。「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人たちの言い伝えに従って歩まないで、汚(けが)れた手でパンを食べるのですか。」』とあります。

 

「汚(けが)れた手でパンを食べる」(2節)のは、「『昔の人たちの言い伝え』に従って歩まない」(5節)ことである、ということが言われています。

 

3節と4節に、『昔の人たちの言い伝え』(3節)または「しきたり」(4節)として、幾つか例が挙げられています。

 

その中に、「手をよく洗わないでは食事をせず」(3節)、というのがあります。

 

「汚(けが)れた手でパンを食べる」(2節)こと、また「手をよく洗わないでは食事を」(3節)しないこと、については、律法で規定されたものではない、と言うことができると思います。

 

律法の規定に、そのようなものを見つけることはできないと思います。

 

つまり、「汚(けが)れた手でパンを食べ」てはならない、また、「手をよく洗わないでは食事を」してはならない、という戒めはない、ということです。

 

言い換えると、それは「昔の『人』たちの言い伝え」(3節)であり、『人間の教え』(7節)である、ということです。

 

『神の戒め』(8節と9節、上記)ではないのです。

 

その2、に続きます。