「この世を支配する者」について その2

新改訳聖書』第3版のヨハネ福音書14章30節に、次のように書かれています。
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30節
わたしは、もう、あなたがたに多くは話すまい。この世を支配する者が来るからです。彼はわたしに対して何もすることはできません。
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1行目から、「・・・この世を支配する者が来る・・・」とあります。

 

この言葉から、すぐに思いつくのは、「ユダ」、すなわち「イスカリオテ・ユダ」(ヨハネ福音書13章2節等)です。

 

ユダ自身は、すなわち、本来の人としてのユダは、「この世を支配する者」ではない、と言うことができると思います。

 

ユダという、ある特定の『人』が「この世を支配する者」であるとは思えません。

 

「この世」は、ユダが存在する、はるか以前から存在します。

 

ユダが存在する以前については、ユダがこの世を支配することはなかった、というのは言うまでもありません。

 

ユダがイエスのところに来るのは、ユダがイエスを祭司長たちに引き渡すためです。

 

マタイの福音書26章14節から16節までに、次のように書かれています。
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14節
そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテ・ユダという者が、祭司長たちのところへ行って、
15節
こう言った。「彼をあなたがたに*売るとしたら、いったいいくらくれますか。」すると、彼らは**銀貨三十枚を彼に支払った。

 

* あるいは「売り渡したいのだが」
** すなわち「シケル銀貨」

 

16節
そのときから、彼はイエスを引き渡す機会をねらっていた。
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15節1行目に、「・・・彼をあなたがたに*売る(あるいは、売り渡したい)・・・」とあります。

 

「彼」というのは「イエス」のことで、「あなたがた」というのは「祭司長たち」のことです。

 

15節1行目の引用部分は、「・・・イエスを祭司長たちに*売る(あるいは、売り渡したい)・・・」、となります。

 

そして、この「売る(あるいは、売り渡したい)」というのが、「引き渡す」(16節)ということになる、と言うことができると思います。

 

その3、に続きます。