「穴に下る者」について その1

新改訳聖書』第3版の詩篇28篇1節(「穴」について その5冒頭、2022-10-20)に、次のように書かれています。
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1節
よ。私はあなたに呼ばわります。
私の岩よ。どうか、私に耳を閉じないでください。
私に口をつぐまれて、
私が、穴に下る者と同じにされないように。
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最後の行に、「・・・穴に下る者・・・」とあります。

 

この言葉は、エゼキエル書32章などにも出て来ます。

 

エゼキエル書32章には何度か出て来ますが、「穴に下る者」がどのような者であるのかについては、よく分かりません。

 

今のところ、1箇所、「穴に下る者」ではないかと思われる記述があります。

 

イザヤ書14章12節から15節までに、次のように書かれています。
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12節
  暁の子、明けの明星よ。
  どうしてあなたは天から落ちたのか。
  国々を打ち破った者よ。
  どうしてあなたは地に切り倒されたのか。
13節
  あなたは心の中で言った。
  『私は天に上ろう。
  神の星星(ほしほし)のはるか上に私の王座を上げ、
  北の果てにある会合の山にすわろう。
14節
  密雲の頂に上り、
  いと高き方のようになろう。』
15節
  しかし、あなたは*よみに落とされ、
  穴の底に落とされる。

 

* →イザ五・十四*

 

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12節2行目の「あなた」というのは、同節の「暁の子、明けの明星・・・」のこと、と言うことができ、また、12節最後の行の「あなた」というのは、同節3行目の「国々を打ち破った者・・・」のこと、と言うことができると思います。

 

そしてその、「暁の子、明けの明星」と「国々を打ち破った者」とは、同じ者ではないかと思われます。

 

そうだとすると、13節と15節の「あなた」は、「国々を打ち破った者」である「暁の子、明けの明星」のこと、と言うことができると思います。

 

15節に、「・・・あなたは*よみ(シェオル)に落とされ、穴の底に落とされる。」とあります。

 

つまり、「暁の子、明けの明星」は「よみ(シェオル)に落とされ、穴の底に落とされる」、ということです。

 

「暁の子、明けの明星」は「穴の底に落とされる」、とあります。

 

この言葉から、「暁の子、明けの明星」は「穴に下る者」(詩篇28篇1節、上記冒頭)ではないか、と思われます。

 

「暁の子、明けの明星」は、イザヤ書14章では、次のような者として言われています。

 

12節に、「暁の子、明けの明星よ。どうしてあなたは天から落ちたのか。・・・」とあります。

 

「天から落ちた」とあるので、「暁の子、明けの明星」は『人間』ではない、と考えられます。

 

「天」が文字通りの天ではなく、何かのたとえであるなら別です。

 

さしあたり、『文字通りの天』と考えます。

 

「穴に下る者」(詩篇28篇1節、上記冒頭)として、具体的に示されていると思われるのは、現時点では、この「暁の子、明けの明星」だけです。

 

「天から落ちた」という言葉から、ヨハネの黙示録12章9節の記述が思い浮かびます。

 

その2、に続きます。