「墓」について その4

新改訳聖書』第3版のイザヤ書53章9節に、次のように書かれています。
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53章9節
 彼の墓は悪者どもとともに設けられ、
 *彼は富む者とともに葬られた。
 彼は暴虐を行わず、その口に欺きはなかったが。

 

* あるいは「彼は彼のむごい死において富む者と
いっしょであった」または「彼の塚は富む者ととも
に設けられた」

 

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「彼」というのは、誰のことでしょうか。誰のことであると考えられるでしょうか。

 

イザヤ書53章について その4(2020-12-17)、の終わりのほうでわたしは、次のように述べました。
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これまで述べて来たことから、イザヤ書53章7節と8節に記されている「彼」というのは、「イエス」のことではないか、と考えられます。

 

また、それらの節だけではなく、53章全体の「彼」も、「イエス」ではないか、と考えられます。
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53章全体の「彼」が「イエス」であるとすると、上で引用した53章9節の「彼」も「イエス」である、ということになります。

 

ここでは、53章9節の「彼」も「イエス」である、ということを前提にして述べます。「イエス」ではない、ということが明らかになった場合は、再度、検討します。

 

イザヤ書53章9節の「彼」が「イエス」だとすると、同節1行目の「彼の墓」は、「イエスの墓」ということになります。それは、アリマタヤのヨセフが「岩を掘って造った自分の新しい墓」(マタイ27:60)のことでしょうか。

 

アリマタヤのヨセフが岩を掘って造った墓は、『新しい』とあるように、イエス以外の人は葬られなかった、と考えられます。そうすると、イザヤ書53章9節の「彼の墓は悪者どもとともに設けられ・・・た。・・・」という言葉が理解できなくなると思います。

 

『新しい』墓は、「悪者どもとともに設けられ」た、とは言えないからです。

 

また、同じ理由から、イザヤ書53章9節2行目の「彼は富む者とともに葬られた。」という言葉も理解できなくなります。

 

そうすると、イザヤ書53章9節の「彼の墓」、すなわち「イエスの墓」というのは、アリマタヤのヨセフが「岩を掘って造った自分の新しい墓」(マタイ27:60)のことではないのではないか、という考えが浮かびます。

 

イザヤ書53章9節の記述にある「彼の墓」は、どのように理解したらよいのでしょうか。

 

その5、に続きます。