「死刑」について その1

新改訳聖書』第3版のマタイの福音書26章59節から62節までに、次のように書かれています。
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59節
さて、祭司長たちと全*議会は、イエスを死刑にするために、エスを訴える偽証を求めていた。

 

* あるいは「サンヘドリン」

 

60節
偽証者がたくさん出て来たが、証拠はつかめなかった。しかし、最後にふたりの者が進み出て、
61節
言った。「この人は、『わたしは神の*神殿をこわして、それを三日の**うちに建て直せる』と言いました。」

 

* あるいは「聖所」
** あるいは「後に」

 

62節
そこで、大祭司は立ち上がってイエスに言った。「何も答えないのですか。この人たちが、あなたに不利な証言をしていますが、これはどうなのですか。」
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59節に、「さて、祭司長たちと全*議会(あるいは、サンヘドリン)は、イエスを死刑にするために、イエスを訴える偽証を求めていた。」とあります。

 

「祭司長たちと全*議会(あるいは、サンヘドリン)は、・・・エスを訴える『偽証』を求めていた」、と書かれています。

 

『偽証』、です。

 

「祭司長たちと全*議会(あるいは、サンヘドリン)」は、『偽証』によってイエスを訴え、死刑にしようとしている、ということになります。

 

60節に、「偽証者がたくさん出て来たが、証拠はつかめなかった。・・・」とあります。

 

エスを訴え、死刑にするための証拠はつかめなかった、のです。

 

エスは何か罪を犯したのでしょうか。

 

『偽証』でさえイエスを訴えることは難しい、ということを思わせます。

 

ましてや、『正当な』理由でイエスを訴えることはできないのではないでしょうか。

 

60節から61節にかけて、『(60節)・・・しかし、最後にふたりの者が進み出て、(61節)言った。「この人は、『わたしは神の*神殿(あるいは、聖所)をこわして、それを三日の**うちに(あるいは、後に)建て直せる』と言いました。」』とあります。

 

ヨハネ福音書2章19節から21節までに、次のように書かれています。
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19節
エスは彼らに答えて言われた。「この神殿をこわしてみなさい。わたしは、三日でそれを建てよう。」
20節
そこで、ユダヤ人たちは言った。「この神殿は建てるのに四十六年かかりました。あなたはそれを、三日で建てるのですか。」
21節
しかし、イエスはご自分のからだの神殿のことを言われたのである。
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ユダヤ人たちは、イエスが言われた「この神殿」(19節)というのを、『建物』の神殿のことだと思いました。「建てるのに四十六年かかりました」、と言っています。

 

しかしイエスは、「この神殿」というのは「ご自分の『からだ』の神殿」のことを言われたのである、と21節には書かれています。

 

ユダヤ人たちは、イエスが言われた「この神殿」というのを、勝手に『建物』の神殿のことだと思いこんだのです。

 

しかし、イエスユダヤ人たちに、それが「ご自分の『からだ』の神殿」のことである、ということを説明されなかった、と言うことができます。そのことについては特に書かれていません。

 

マタイの福音書26章63節に、次のように書かれています。
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63節
しかし、イエスは黙っておられた。それで、大祭司はイエス言った。「私は、生ける神によって、あなたに命じます。あなたは神の子キリストなのか、どうか。その答えを言いなさい。」
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1行目に、「しかし、イエスは黙っておられた。・・・」とあります。

 

エスが言われた「この神殿」というのは、「ご自分の『からだ』の神殿」のことであることについては、何も言われませんでした。

 

それについて説明しても、ユダヤ人たちは「聞いてはいるが聞かず、また、悟ることもしないから」(マタイ13:13)ではないでしょうか。

 

その2、に続きます。