「この世を支配する者」について その12

新改訳聖書』第3版のヨハネ福音書13章30節に、次のように書かれています。
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30節
ユダは、パン切れを受けるとすぐ、外に出て行った。すでに夜であった。
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ヨハネ福音書13章27節(その9冒頭)2行目から、「あなたがしようとしていることを、今すぐしなさい。」とあります。

 

これは、イエスが『ユダ』に対して言われたことばですが、「サタンが彼(すなわち、ユダ)に入った」時に言われたことばです。

 

つまり、「あなたがしようとしていること」の「あなた」というのは、『人』としての『ユダ』ではなく、『サタン』である、ということです。

 

「あなたがしようとしていること」というのは、何であると考えられるでしょうか。

 

「引き渡すこと」、ではないでしょうか。

 

ルカの福音書22章6節(その3冒頭)に、「ユダは・・・イエスを彼らに引き渡そうと機会をねらっていた。」とあります。

 

そしてそれは、22章3節(その3冒頭)で、「イスカリオテと呼ばれるユダに、サタンが入った」あとのことです。

 

「サタンが入った」あとの『ユダ』が、イエスを引き渡そうとしていた、と言うことができます。

 

ルカの福音書22章3節から6節まで(その3冒頭)の記述から、イエスを引き渡そうとしていたのは、本来の『人』としての『ユダ』ではなく、『サタン』としての『ユダ』である、と言うことができるのではないでしょうか。

 

ヨハネ福音書では、ユダは外に出て行ったあと、18章で、『来た』ことが書かれています。18章3節に、『来た』ことが書かれています。

 

ヨハネ福音書18章3節は、次のようになっています。
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3節
そこで、ユダは一*隊の兵士と、祭司長、パリサイ人(びと)たちから送られた役人たちを引き連れて、ともしびとたいまつと武器をもって、そこに来た。

 

* ローマの軍隊の一単位で通常六百人

 

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ユダが『来た』のは、イエスを引き渡すためである、と言うことができると思います。

 

そして、「あなたがしようとしていること」というのは、「イエスを引き渡すこと」と考えられます。

 

「あなた」というのは、『サタン』のことと考えられます。

 

以上述べて来たことから、ユダにサタンが入った時から、ユダは、本来の『人』として行動していたのではなく、『サタン』として行動していた、ということが言えるのではないでしょうか。

 

つまり、ヨハネ福音書14章30節(その2冒頭)1行目からの、「・・・この世を支配する者が『来る』・・・」というのは、見た目は『人』としてのユダが来るのですが、そのときのユダの心は、悪魔の思いが入った心であり、中身はサタンであり、それが「この世を支配する者」である、ということではないでしょうか。

 

以上述べて来たように、「この世を支配する者」というのは誰か(その1)と言いますと、それは、『悪魔』または『サタン』である、と言うことができると思います。