『新改訳聖書』第3版の使徒の働き2章27節に、次のように書かれています。
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27節
あなたは私のたましいをハデスに捨てて置かず、
あなたの聖者が朽ち果てるのを
*お許しにならないからである。
* 直訳「与える」
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また、詩篇16篇10節に、次のように書かれています。
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10節
まことに、あなたは、私のたましいを
*よみに捨ておかず、
あなたの聖徒に墓の穴をお見せにはなりません。
* →詩六・五*
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この詩篇16篇10節の、「・・・あなたは、私のたましいを*よみに捨ておかず、・・・」というのが、使徒の働き2章27節(上記冒頭)の、「あなたは私のたましいをハデスに捨てて置かず、・・・」のことだとすると、「ハデス」というのは、「よみ」のこと、と言うことができます。
「よみ」は、ビブリア・ヘブライカ・シュツットガルテンシアのヘブライ語では、「シェオル」となっています。
詩篇16篇10節の「よみ」、すなわち「シェオル」は、七十人訳では、多少読み方は違うかもしれませんが、「ハデン」となっています。
これは、「ハデス」の変化形であると思われます。
イザヤ書5章14節に、次のように書かれています。
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14節
それゆえ、*よみは、のどを広げ、
口を限りなくあける。
その威光も、その騒音も、そのどよめきも、
そこでの歓声も、よみに落ち込む。
* ヘ 「シェオル」
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1行目に、「それゆえ、*よみは、のどを広げ、」とあります。
この「よみ」も、「シェオル」です。
この「シェオル」は、七十人訳のギリシャ語では、「ハデス」となっています。
同様に、イザヤ書14章9節の「よみ」すなわち「シェオル」も、七十人訳では、「ハデス」となっています。
七十人訳のギリシャ語で「ハデス」となっているものとしては、ほかに、ハバクク書2章5節の「よみ」や、ヨブ記17章13節の「よみ」、同26章6節の「よみ」などがあります。
詩篇にも「よみ」は出て来ますが、今はまだ調べていません。
このように、新約聖書の「ハデス」は、旧約聖書の「シェオル」である、と言うことができると思います。
したがって、わたしがこれまで「よみ」について述べて来たことは、「ハデス」についてのことでもある、ということになります。