「よみ」について その12

新改訳聖書』第3版のイザヤ書14章3節から11節までに、次のように書かれています。
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3節
が、あなたの痛み、あなたへの激しい怒りを除き、あなたに負わせた過酷な労役を解いてあなたをいこわせる日に、
4節
あなたは、バビロンの王について、このようなあざけりの歌を歌って言う。
  「しいたげる者はどのようにして果てたのか。
  *横暴はどのようにして終わったのか。

 

* 七十人訳、および死海写本による

 

5節
  が悪者の杖と、支配者の笏とを折られたのだ。
6節
  彼は憤って、国々の民を打ち、絶え間なく打ち、
  怒って、国々を容赦なくしいたげて
  支配したのだが。
7節
  全地は安らかにいこい、
  喜びの歌声をあげている。
8節
  もみの木も、レバノンの杉も、
  あなたのことを喜んで、*言う。
  『あなたが倒れ伏したので、
  もう、私たちを切る者は上って来ない。』

 

* 「言う」は補足

 

9節
  下界の*よみは、
  あなたの来るのを迎えようとざわめき、
  死者の霊たち、
  地のすべての指導者たちを
  揺り起こし、
  国々のすべての王を、
  その王座から立ち上がらせる。

 

* →イザ五・十四*


10節
  彼らはみな、あなたに告げて言う。
  『あなたもまた、私たちのように弱くされ、
  私たちに似た者になってしまった。』
11節
  あなたの誇り、あなたの琴の音は*よみに落とされ、
  あなたの下には、うじが敷かれ、
  虫けらが、あなたのおおいとなる。

 

* →イザ五・十四*

 

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5節に、「が悪者の杖と、支配者の笏とを折られたのだ。」とあります。

 

が悪者の杖と、支配者の笏とを折られた」ので、「しいたげる者は・・・果て」、「横暴は・・・終わった」という文脈になると思います。

 

そしてこの「悪者」(すなわち、6節の「彼」)は、「憤って、国々の民を打ち、絶え間なく打ち、怒って、国々を容赦なくしいたげて支配した」(6節)、となります。

 

8節から11節までの「あなた」というのは、「バビロンの王」(4節)のこと、と言うことができると思います。

 

また、4節の「しいたげる者」も、「バビロンの王」(4節)のこと、と言うことができると思います。

 

4節の「しいたげる者」が「バビロンの王」(4節)のことであることと、「彼(すなわち、悪者)は・・・国々を容赦なく『しいたげて』支配した」(6節)、とあることから、「悪者」というのは、「バビロンの王」のことであると思われます。

 

「しいたげる者は・・・果てた」、すなわち、「バビロンの王」(4節)は果てたので、あるいは、「あなた(すなわち、バビロンの王)が倒れ伏した」(8節)ので、バビロンの王は「*よみ(シェオル)に落とされ・・・る」(11節)、ということになると思います。

 

それは、すなわち、「よみ(シェオル)に落とされ・・・る」(11節)のは、バビロンの王が「憤って、国々の民を打ち、絶え間なく打ち、怒って、国々を容赦なくしいたげて支配した」(6節)からであると考えられます。

 

そのように「支配した」者が「果て」(4節)、「横暴は・・・終わった」(同節)ので、また「倒れ伏した」(8節)ので、「あざけりの歌」(4節)が歌われる、ということだと思います。

 

その13、に続きます。